うおやと一鰭????????????????????????????????????? 中村直人
大町の「うおや」は命名当初、「魚弥」と書き表わされていました。
これは8代目の上村正弥(まさや)さん(89才)の名前に因んでいます。
(それ以前の屋号は5代目の名前、弥蔵(ヤゾウ)でした)
上村さんは兄弟が多いのが当たり前だった時代に男5、女2の1番目として大町で生まれました。
「弥」というのは数の多いこと、幾重にも重なるといった意味を持ち合わせています。
これは数に置き換えると、「八」を充てることになります。
一方奥様の八惠子(やえこ)さんは(20)才で岩船から嫁いできてから六十年もの時を
店の切盛りと仕込みと従業員の世話と子育てを数々とこなし続けてきました。
多くの思いやりや恵みや包容力や賢さを持ち合わせるという意味の名前の如くに、
現役をひた走ってきました。
ここでこのお二人の名前には、共通の意味を持ち合わせていることに気付きます。
「弥」=「八」=「多くのことを、 多くに行き渡らす」と読み解けますので、
ご主人はいい(正)と思えることを多くに広めてゆく、
奥様は多くの人に思いやりや恵みを広めてゆくとなります。
併せることで、家業を通していい(正)と思えることを多くの人に恵み広めてゆくとなるように思えます。
すなわち新鮮で美味しい魚を多くの人に広めてゆくこと、
これはこの店そのものを表わしていると思えてなりません。
八惠子さんの一声(ひとこえ)で命名された隣接店の「一鰭(いちびれ)」とは、
丹念に仕込まれた鮭の塩引きのなかでも一番身の締まった胸鰭(むなびれ)の貴重部分を
そう呼び習わすことによります。
村上では神とも呼ばれる鮭の魂は街の中にも漂っているように感じられますが、
羽黒町~上町~大町~小町を結ぶ三面川へ向かう南北の街並み(背骨)に魚体が宿っているとなぞらえると、ちょうど大町辺りが胸鰭に位置していると例えることができます。
街のまん中で鮭も見守っていますよ、とお告げがあったような一声の出来ごとだった!
と関係者は今でも思っています。
2014.1.30 関係者のひとりより